投げるという動作をする上で、肘や肩にかかる負担はとても大きいものになります。特にリトルリーグなど身体がまだ成長期のうちは負担もかかりやすいものです。無理な動作や、過度な練習などの様々な環境によりケガや痛みにつながるケースがございます。
“早く投げたい“ ”コントロールが良くなりたい“ ”スタメンに入りたい“ などのもっと上手くなりたいと行っていたことが、ケガに繋がり練習ができなくなってしまうと、本来の目的が達成できなくなってしまいます。
スポーツをする中で身体のケアやトレーニングと向き合うことは競技人生を長くし、また自身の最大のパフォーマンスを発揮するための大切な1つです。
そもそも、みなさんが良く口にする”野球肩”とはどんなものでしょうか。
野球肩とは、直接的または、間接的に肩関節を構成する筋肉や靭帯、骨、関節に負担がかかり、投げることができなくなる投球障害というものの一つです。
要するに、何らかの影響で肩に損傷を負い、痛みや可動域が悪くなり投げれなくなってしまうことです。
そして、一番大切なのは、『何らかの影響で』ということです。
ここに含まれるものは、筋肉が壊れたというような直接的原因もあれば、足の筋力が弱く、足からの力がうまく伝わらず、肩だけでボール投げることを繰り返してしまい、肩の関節を損傷してしまうなどの間接的な原因があります。
ですので、野球肩の治療は痛みを取ることがゴールではなく、再発をしないように何をしたらいいのかを考え、取り組むことが大切です。
その症状は野球肩かも!小さなサインも見逃すな!!
それでは野球肩の症状として実際にはどのようなことが生じるのでしょうか。
以下に軽度・中等度・重度に分けて症状の例を記載しました。これらの症状が見られる場合は野球肩の恐れがあります。
なお中等度〜重度の場合、投球中に痛みが出ることが多くなります。
投球中の動作を細かく分けた時に、どこに痛みが出やすいのか

構えてから足を上げるまで
(2)コッキング(前期)
足を1番高く上げたところからその足をキャッチャー方向に踏み出して地面に着地するまで
(3)コッキング(後期)
踏み出し足が着地してからは投げる方向に向かって体を回す回転運動になりますが、投げる腕がMaxまでしなるまで
(4)アクセレーション(加速期)
腕がMaxまでしなってからボールを離す瞬間まで
(5)フォロースルー
ボールを離した後の動作
① 腕を上げる時に感じる痛み(セットからテイクバックまでのスライド期)
痛みを感じる場所:肩の後ろ側

② 肩を後ろに引き、身体が回り、リリースまでに感じる痛み(テイクバックからリリースまでのコッキング期〜加速期まで)
痛みを感じる場所:肩の前面の痛み、引っ掛かり

③ボールを離してから感じる痛み (リリースから腕を振り抜くまでのフォロースルー期)
痛みを感じる場所:肩の急な脱力感、肩後方の痛み

野球肩の原因は?
さて、野球肘を引き起こしてしまう根本の原因はどのようなところにあるでしょうか。
- 筋力の低下
- 肩関節の可動域制限
- 不安定化
- 股関節の柔軟性の低下
- 下肢(かし)、臀部(でんぶ)の筋力の低下
- 体幹の可動域制限
- 練習のやり過ぎ
- グランドコンディションが悪い
- 合っていない道具の使用
- 軟球から硬球に切り替わった時期
「野球肩=投げ過ぎ」と考えられています。
ですが、単に投げ過ぎだけの問題だけではなく、上記のように環境や全身の状態が肩の損傷に大きく関わっています。
肩の構成
「肩が痛い」と良く耳にしますが、実は肩は様々な働きのものが1つになって”肩関節”を作ります。
では、どんなものが肩関節を構成しているのか代表的なものを確認していきましょう。
⚪︎腕と体幹を支える関節と構成する骨


・肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)
肩甲骨(けんこうこつ)ー上腕骨(じょうわんこつ)
・肩鎖関節(けんさかんせつ)
肩甲骨ー鎖骨(さこつ)
・胸鎖関節(きょうさかんせつ)
胸骨(きょうこつ)ー鎖骨
・肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)
肩甲骨ー胸郭(きょうかく)
⚪︎肩関節を動かす筋肉

① 前から腕を上げる筋肉(屈曲)
・上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)
・三角筋(さんかくきん)前部

② 横から腕を上げる筋肉(外転)
・三角筋
・棘上筋(きょくじょうきん)
・僧帽筋(そうぼうきん)

③ 後ろに腕を上げる筋肉(伸展)
・三角筋
・広背筋(こうはいきん)
・上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)

④ 内回り・外回りする筋肉(回旋)
・棘上筋
・棘下筋(きょくかきん)
・小円筋(しょうえんきん)
・肩甲下筋(けんこうかきん)
・大円筋(だいえんきん)
自分でできる!野球肩予防のケアとトレーニング
ストレッチ
1.肩の後ろのストレッチ
手順
1・横向きに寝る
2・下の腕を90°に曲げる
3・反対の手で下の手の手首を掴み下に足していく
1.肩の横のストレッチ
手順
1・胸の前で腕をクロスに組む(伸ばしたい方を下)
2・下の腕を曲げる(首に巻きつくような感じ)
3・上の手で肘を支え胸の方に引き寄せる
4・下の腕の角度を上げ引き寄せる
1.肩の前のストレッチ
手順
1・両膝立ちになります
2・両手を地面に付けます(腕を120°位に上げた状態で)
3・片方の腕を内側に捻る様にし身体は逆を向けます
インナーマッスルのトレーニング
肩関節のトレーニング
①ローテーター・カフ
ローテーター・カフ(回旋筋健板)とは肩関節の安定性を高めてくれる筋肉の集まりです。
「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」の4つの筋肉が合わさってできています。
・必要なもの
重さ1㎏程度のダンベル(ペットボトルなどでも代用できます。)
方法1
・横向きに寝て、腕を体幹の側面に沿わせる
・体幹の側面から30°程上に上げる
方法2
・横向きに寝て肘を90°曲げる
・肘を曲げたまま内旋・外旋を行う
②前鋸筋(ぜんきょきん)
・必要なもの
ハンドボールサイズの柔らかいボール
方法1
・腕立て伏せの体勢で肘をしっかり伸ばす
・肘は曲げず、肩甲骨を背骨に寄せる様に身体を沈める
・沈んだところから元の位置まで戻す
方法2
・壁に向け腕を前から90°上げる
・壁と上げた手の間にボールを挟む
・挟んだボールを壁側に押し付ける
<ポイント>
身体全体で押し込むのではなく肩甲骨を背骨から遠ざける様にして腕だけで押し込む事を意識しましょう。
③僧帽筋・菱形筋(そうぼうきん・りょうけいきん)
方法1
・うつ伏せで頭の後ろに手を組む
・肘を上に上げる
<ポイント>
肘を上に上げる時は肩甲骨を背骨に寄せる事を意識して行いましょう。
方法2
・うつ伏せで両手を上げる
・地面から両腕を離すように上げる
<ポイント>
地面から腕を上げる際に一緒に胸も浮かせていくイメージで行いましょう。
鍼灸院 翠〜みどり〜ができること
当院ではすでに野球肩でお困りの方の痛みを改善する「治療」から、発症しない為の体づくりの「予防(ケア)」を併せて行います。
身体の状態、取り巻く環境を細かく確認し、原因を見つけ1人1人にあわせた施術を行います。
「鍼治療」
鍼治療には傷ついた組織の修復を促したり鎮痛作用があります。
又、張り感の強い箇所の筋肉の緊張の緩和に効果が期待できます!
「ストレッチ」
柔軟性の低下した筋肉を対象にしたストレッチを行います。
投球の妨げを無くし肩への負担を軽減する目的があります。
「可動域改善」
可動域が悪くなった箇所を対象にして行います。
可動域を改善する事での投球動作を改善する目的があります。
「トレーニング」
筋力不足の筋肉を対象にして行います。
筋力不足による関節への負担を軽減する目的があります。
気になることが少しでもあればぜひご相談してください。ご予約・ご相談方法は電話・公式LINE・お問合せからご連絡いただけます。
最後に
私は小学校2年から高校3年生まで少年野球から部活で野球をプレーしてきました。
高校生の頃に肘や肩のケガをしてしまい、3年間、満足にプレーができずに、高校野球を終えてしまいました。
今、鍼灸師になり、振り返って見ると怪我をしても仕方がない生活を送っていたなと思う反面、予防できた怪我だったと考えると後悔が残ります。
そうやって、怪我で思うようにプレーができなかった選手や泣く泣く現役引退をした選手は皆さんは「あの時は無理してたよな」「今だったらあんな怪我しないよな」「今だったらもっと活躍できていたよな」などと一度は思ったことがあると思います。
私を踏まえ後悔している方々が多いと思います。
現在、野球を続けている小中高生にはこのような後悔はしてほしくありません。
少ない学生野球の時間を有意義にプレーして欲しいと思います!
何かわからないことがあれば、お問合せください。
我々が力になります。
他の記事でも野球に関して治療やケア、トレーニングなどの視点から少しでも参考になればという記事をあげています。よろしければぜひ読んでみてください。